不動産売却の基本手続きの流れを詳しく解説
「不動産を売却する流れってどんな?」
この記事では、不動産売却を検討している方向けに準備と流れについて解説しています。
最後まで読んで頂ければ、不動産売却の流れの疑問や不明点が理解できるようになります。
不動産の売却を検討している方は続きをお読みください。
不動産を売却する流れ
不動産の売却を検討している場合、まずは不動産売却の流れを知っておく必要があります。
それぞれの過程で必要な準備があるため、知っておくと知らないでは大きな差がうまれます。
流れを理解して、スムーズに売却完了を目指しましょう。
それぞれ詳しく紹介していきますので、確認してください。
それぞれの過程で必要な書類や準備については、記事の後半で紹介しているので合わせてご確認ください。
相場を調べる
売却したい物件の相場を調べます。
相場を調べる方法は主に2つ。
- 不動産情報ライブラリ
- 不動産取引情報提供サイト
不動産情報ライブラリを利用して、直近でおこなわれた近隣の取引価格を検索すると、おおまかな相場が掴めます。
「築年数」や「駅までの距離」などより絞り込んだ情報で検索ができるため、不動産情報ライブラリよりも成約に近い取引価格がわかる場合があります。
相場がわからないまま売却へ進むと、
「本当はもっと高く売れたはずなのに損をした」
「売値を高く設定し過ぎて長期間売却が決まらない」
といったリスクを抱えます。
そのためご自身で相場を把握しておくことがおすすめです。
土地や物件の取引価格は時期によって大きく異なる場合があります。
何十年も前のデータだと、現在の取引価格の参考にならないことも。
直近の成約取引などを参考に相場を調べてください。
査定を依頼する
ある程度、相場を理解したら不動産会社に査定を依頼してください。
依頼方法は2つ。
- 机上査定
- 訪問査定
築年数や面積など所定の情報を入力して査定に出し、数日中に査定結果を受け取れます。
目視や会話でのヒアリングをおこない、よりリアルな査定額を知れます。
訪問査定は立ち合いが必要なため、机上査定と比較して時間ややり取りが必要です。
査定はなるべく複数の会社に依頼すると、条件の合う不動産会社が見つかるため、面倒がらず多くの会社に依頼しましょう。
不動産のなかには良い悪いがあり、売主との相性もあります。
悪手な不動産と媒介契約を結んだ場合、囲い込みをされてしまうことも。
ほかの不動産に情報を公開するとほかの不動産の利益につながります。
自社で売り手と買い手両方を見つけられると、両方から仲介手数料を受け取れるため情報公開をおこなわないケースがあります。
一括査定が手間が省けておすすめです。
不動産と媒介契約を結ぶ
いくつかの会社に査定してもらったあと、実際に不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約には3種類。
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
- 一般媒介契約
それぞれどのような人に適切か紹介します。
簡単な説明もしているので参考にしてください。
専任媒介契約がおすすめな人
- 自分で買い手を見つける可能性がない
- 高頻度で報告を受けたい
- 契約したい不動産会社が決まっている
専任媒介契約を結ぶと、個人で買い手を見つけることはNG。
仮に買い手が見つかった場合にも不動産を通さなければなりません。
専属専任媒介契約
- 自分で買い手を見つける可能性がある
- 不動産から報告を受けたい
- 契約したい不動産会社が決まっている
専任媒介契約と比べると、不動産からの連絡頻度は減るものの、状況の報告が受けられるのが専属専任媒介契約です。
自分で買い手を見つける可能性があり、報告などのサポートが受けたい人におすすめです。
一般媒介契約
- 自分で買い手を見つける可能性がある
- 諸事情で物件情報を大々的に公開できない
- 1社に任せるのが不安
売主にとって一番自由度が高いのが一般媒介契約です。
契約期間に定めがなく、自分で買い手を見つけることも可能。
ただし、不動産には売却状況の報告義務がないため、丁寧な進捗報告はないものだと思っておきましょう。
売却の進捗をこまめに聞く必要性を感じていない方には適している契約です。
レインズ(不動産の物件情報共有システム)への情報公開も任意なので、情報の公開を避けたい人は一般媒介契約を結びましょう。
不動産による売却活動
媒介契約を結ぶと不動産による売却活動が始まります。
購入希望者が見つかったら、内覧をおこないます。
内覧には基本的に売主も立ち会う必要があります。
- 内覧に訪問する方のスリッパの準備
- 物件の掃除
- 全室の照明を付けておく
内覧した人のなかから、実際に購入したい方が出てきたら、買主が「購入申込書」や「買付証明書」を提出します。
ここまで来ると、いよいよ売却です。
買主と売買契約を締結
買主と売買契約を締結します。
ここまで来ると「やっぱり売却はやめる」ということはできません。
売買契約の手順は以下。
- 重要事項説明を受ける
- 売主・買主ともに売買契約書に署名・捺印
- 手付金を受け取る
重要事項説明とは法律で定められたもので、宅地建物取引士によっておこなわれます。
○宅地建物取引業法第35条
宅地建物取引業者は、(中略)、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面
(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
4 取引主任者は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、取引主任者証を提示しなければならない。
引用:国土交通省
重要事項説明と売買契約は同日におこなわれる場合と、別日におこなわれることがあります。
同日におこなわれる場合は、重要事項説明を受ける際に実印を持参することを忘れないようにしてください。
双方の署名・捺印が済むと、売買契約は完了です。
また、売買契約を結んだタイミングで不動産会社に仲介手数料の50%を支払うことが一般的です。
物件の引き渡し・決済
買主と物件の引き渡し日を決め、引き渡しをおこないます。
引き渡し日には、買主が売主に残金を支払います。
買主が住宅ローンを利用する場合には、融資先の金融機関から直接振り込まれるケースも。
また引き渡し時、不動産会社に仲介手数料の残金を支払うことが一般的です。
買主から不動産売買の残金が支払われたのち、売主は「抵当権抹消」手続きを、買主は「所有権移転」を実施します。
抵当権抹消の手続き方法を簡単に紹介しておきます。
- 金融機関から書類を送付してもらう
- 登記申請書の作成
- 管轄の法務局に申請書を提出
抵当権抹消がおこなわれなければ、買主は所有権移転がおこなえず売買が完了しないため、かならずおこなう項目です。
不動産を売却する際の注意点
不動産売却はいくつものステップを踏み、慎重かつスムーズに進めていく必要があります。
売却検討から売却完了までは慌ただしい日々を送ることになるため、注意点を頭に入れておきましょう。
- 必要書類の準備には時間を要することがあり早めの準備が重要
- 媒介契約を結ぶ前に物件の相場を把握しておく
- 買い手が見つかるまでには数カ月かかることを理解する
- 内覧は複数人がおこなう可能性があり、スケジュールを確保する必要がある
- 内覧前には住居している場合も別に住まいがある場合も、物件をきれいにしておくと売却しやすい
- 物件の欠陥を隠すことは法律違反になると理解しておく
- 売主側も仲介手数料や印紙代などの費用がかかることを承知しておく
不動産売却で損をしないため、スムーズにことを運ぶため、必要な知識です。
とくに必要書類の準備には、法務局や銀行・市役所や町役場など、平日の日中のみ営業している機関を利用することが多くあります。
ギリギリで行動するのは避け、それぞれ必要な日時の数日前には書類がそろっておくよう準備しておくのがおすすめです。
また、不動産売却には複数社の訪問査定や内覧立ち合い、重要事項説明、引き渡しなど、相手側とスケジュールを調整して時間を確保する機会が多数あります。
なかなかスケジュールが確保できないとなると、その分売却までの時間も長引くでしょう。
スケジュールに余裕を持たせておくことも重要な注意点となります。
不動産を売却に必要な書類と準備
不動産を売却する流れで必要になる書類や準備を紹介します。
流れを理解したうえで、あらかじめ準備できるものは早めに準備しておきましょう。
書類によっては準備に時間を要するものもあり、書類がそろわないことで売買がスムーズにおこなわれない恐れがあります。
- 査定依頼時
- 媒介契約時
- 売買契約時
- 引き渡し・決済時
査定依頼時
査定を依頼するとき必要なものは以下。
- 所有不動産の物件概要書
- 登記事項証明書または、固定資産税納税通知書
- 間取り図
- 土地の実測図
- 土地の境界が確認できる資料
- 建築確認申請書や建築確認済証
- 検査済証
売買する不動産がマンションの場合は、準備物が異なります。
- 分譲時のパンフレット
- 管理規約
- 使用細則
詳細な査定を受けるため必要なものとなります。
不動産を購入したときの書類を確認して準備しておいてください。
媒介契約時
媒介契約を結ぶ際の準備は以下。
- 媒介契約書
- 不動産売買契約書
- 権利証(登記識別情報)
- 固定資産税納付通知書
- 住宅ローン残高証明書
- 本人確認書類
- 実印・印鑑証明
- 購入時の重要事項説明書
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 購入時の物件資料
- 土地の実測図
- 土地の境界が確認できる資料
- 建築確認済証
- 固定資産評価証明書
- 住宅性能評価書・地盤調査報告書・耐震診断報告書
- 建築設計図書
- リフォームの仕様書
- 境界確認書
準備物が多く感じますが、不動産購入時にそろっている書類が多いため、意外に労力は少ないです。
売買契約時
売買契約時に必要なものは以下。
- 実印
- 認印
- 身分証明書
- 登記済権利証
- 印鑑証明書
- 収入印紙
売買契約書の署名・捺印に印鑑が必要です。
漏れのないよう準備をしておきましょう。
引き渡し・決済時
引き渡しの際、買主に渡す書類は以下。
- 新築時の図面一式
- 販売説明時に貰ったパンフレット
- 建築確認通知書
- 設備のパンフレットや説明書
- (マンションの場合)管理規約
- 物件に関する全ての鍵(設備の鍵も含む)
購入後買主が困らないよう、設備の説明書なども不備のないよう心掛けます。
これらが不動産売却でシーンごとに必要な準備物です。
不動産売却の基本手続きまとめ
不動産売却の流れはおおまかに6ステップ。
- 相場を調べる
- 査定を依頼する
- 不動産と媒介契約を結ぶ
- 不動産による売却活動
- 買主と売買契約を締結
相場を調べ始めてから売却までは数カ月を要します。
物件の状況によっては買い手が見つからず、それ以上に時間がかかるケースもあると知っておきましょう。
注意しておきたい点は7つ。
- 必要書類の準備には時間を要することがあり早めの準備が重要
- 媒介契約を結ぶ前に物件の相場を把握しておく
- 買い手が見つかるまでには数カ月かかることを理解する
- 内覧は複数人がおこなう可能性があり、スケジュールを確保する必要がある
- 内覧前には住居している場合も別に住まいがある場合も、物件をきれいにしておくと売却しやすい
- 物件の欠陥を隠すことは法律違反になると理解しておく
- 売主側も仲介手数料や印紙代などの費用がかかることを承知しておく
スムーズに売却をおこなうため、把握しておいてください。
不動産を売却するには以上の流れと注意が必要です。
早め早めの行動を心掛け売却をおこないましょう。