古い家を売る方法と知っておきたい売却の注意点

管理者

「古い家を売るのは難しい」と思っていませんか?

この記事では、古い家を売るための具体的な方法と、売却時に注意すべきポイントについて解説しています。

最後まで読んでいただければ、古い家を効果的に売却するための知識が身につきます。

古い家の売却を検討している方は、ぜひ続きをお読みください。

古い家を売る7個の方法

築年数の経過した家や相続した空き家など、古くなった物件を売りたい場合、最適な方法は状況によって異なります。

ここでは古い家が売れやすくなる7個の方法を見ていきましょう。

古い家を売る7個の方法
  1. 手を加えずに売る
  2. リフォームしてから売る
  3. 付加価値をつけて売る
  4. 自治体の取り組みを利用して売る
  5. 不動産会社に売る
  6. 土地をメインに売る
  7. 家を取り壊して土地だけ売る

①手を加えずに売る

古い家を売却するとき、必ず手を加えないといけないわけではありません。

内装の目立つ汚れや設備の故障などがなければ、そのままで買い手がつくこともあります。

特に次のようなポイントは物件選びをしている方から好印象です。

  • 築年数が浅く住居が綺麗な状態
  • 住んでいる間に設備を最新のものにリフォーム済
  • 交通の便が良いターミナル駅から近い
  • 地域内に入学希望者が殺到する学校がある
  • 子育て支援に力を入れている地域である

あえて古い部分を「趣き」として売り出すのもあり。

古民家の屋根裏にある竹材が、囲炉裏の煙で燻されて煤竹(すすたけ)という高級竹材に変化したなど、思わぬ価値が眠っている可能性もあります。

手を加えない部分に、購入希望者が価値を見出す場合があるのです。

②リフォームしてから売る

古い家を全面リフォームする、または一部リフォームしてから販売する方法もあります。

大規模リフォームをおこなえば不動産価値は上がりますが、建て替えと同じくらい金銭的な負担が大きいので、資金に余裕が無い家は以下のような一部リフォームがオススメです。

  • 最新設備のキッチンにする
  • 追い炊き機能・浴室乾燥機・テレビ付きなどのバスルームにする
  • タバコで黄ばんだ壁紙を貼り替える
  • 手すりをつけたり車椅子でも過ごせるバリアフリー住宅にする
  • 太陽光発電や省エネ給湯器を導入する

古い部分をカバーするリフォームから、買い手が魅力に感じる攻めのリフォームまで、種類は多岐にわたります。

耐震構造のリフォームについては補助金が出る自治体も。

例えば東京都練馬区では、工事だけでなく耐震診断費用の一部も助成金がおります。

リフォームまでは難しくても、耐震診断を受けておくと建物の安全性をアピールでき、売買競争で一歩リードすることができるでしょう。

一方、工事費用と需要のバランスには気をつけなければいけません。

お金をかけてリフォームを実施しても、必ず売れるとは限らない。

自分好みの内装や設備にしたい購入者にとっては、余計なお世話になってしまいます。

自己判断でリフォームをする前に、査定してくれる不動産会社と相談しましょう。

「このままでも十分」と判断されれば、手を加えずに買い手がつくケースもあるのです。

③付加価値をつけて売る

古い家だからこそ、付加価値をつけると売れる場合があります。

代表的なものとしては「瑕疵担保保険」をつける方法。

瑕疵担保保険とは、建築士が住宅の安全性などを検査して合格することで入れる保険。

これを付保すると、売却後に構造的な欠陥が見つかったとき、修繕費に保険がおります。

また、本来築20年以上の物件では、住宅ローン減税を利用できません。

瑕疵担保保険に加入すると、中古住宅でも住宅ローン減税の適用対象に。

住宅ローン減税とは、年末ローン残高の0.7%が所得税や住民税から控除される措置。

中古物件の場合は税制の優遇を10年間受けることができるので、買主にとってはかなり魅力度の高い制度といえます。

また、ホームインスペクションを実施してから売るのもオススメです。

ホームインスペクションでは、専門家が次の項目で住居のチェックをおこないます。

  • 建物の基礎部分・外壁・内壁
  • 屋根部分・軒裏・雨どい・バルコニーなどの屋外環境
  • 室内床・床下・天井・階段などの室内環境
  • 給排水・換気・火災警報器・給湯器などの設備

2018年からは、不動産会社が売主・買主にホームインスペクションについて説明することが義務づけられましたが、実施すること自体は必須となっていません。

しかし「中古でも安全性の高い住宅を買いたい」と思うのは当たり前のことです。

ホームインスペクションに合格すれば、瑕疵担保保険を付保する裏付けにもなります。

信頼できる売主として、購入希望者に良い印象を与えられるのです。

④自治体の取り組みを利用して売る

一部の自治体では「空き家バンク」という情報サイトを運営しています。

自治体の管理している空き家情報を元に売買できるので、安心感があります。

民間の不動産会社から断られてしまうような物件でも登録が可能。

仲介手数料がかからない点も、費用を安く抑えて古い家を売りたい人には助かります。

仲介がない分、売主と買主だけで売買契約をおこなわなければなりません。

売却価格が低く、無償で譲渡することになった例もあります。

やや親切さにかけると思われるかもしれませんが、もともと空き家バンクという制度は、過疎地域の空き家を活用するために始まった取り組みです。

需要と供給をマッチさせて空き家率を減少させることに視点をおいているので、売買する双方が能動的に動く必要があります。

自治体によっては地域業者を仲介者として紹介してくれる場合も。

利益度外視で、とにかく家を手放したいと考える方にはピッタリです。

全国的な取り組みではないので、利用したい場合は対象地域かどうか調べてみてください。

⑤不動産会社に売る

買い手がつかない場合、不動産会社に家を売る「不動産買取」という方法もあります。

直接物件を買い取ってもらえるため、不人気物件でも売却できる点がメリット。

買い手が声をかけてくるまで待つ・内覧・契約手続きといった期間もかからないので、わずか1か月程度の短期間で売却できるスピード感も魅力と言えます。

一方で、普通に住宅を売るよりも売却価格は少額になる傾向。

どんなに高額で買い取ってくれたとしても、相場の8割程度になってしまうのが一般的。

不動産会社は安く住宅を買い取り、手を加えて再販売することで利益を得るからです。

古い家を売らなければいけない期限が決まっている場合に適した方法となります。

⑥土地をメインに売る

これまで見てきた方法とは異なり、家ではなく土地をアピールして売る方法があります。

「古家付き土地」と呼ばれるものです。

この場合、家はオマケ扱いになるため、綺麗な状態であればなお良いとされます。

解体が必要なほど古い家であった場合は、売れにくくなることも。

売主にとっては古い家に手をかける必要がない点がメリットですが、買主は購入したとしても解体するかリフォームを迫られる状態だからです。

中には売却費用から解体費用分の値引き交渉をされてしまい、売値が安くなってしまうケースもあります。

家の規模にもよりますが解体に100万円程かかるので、売買益からは痛い出費となります。

人気地域の土地で、かつ問題なく住める家を持っている際に使うべき手法。

⑦家を取り壊して土地だけ売る

直前まで住人のいた家なら、中古でも引き続き人が暮らす環境に大きな問題はありません。

しかし相続によって空き家を引き継いだ場合、人の住まない住宅は劣化が早いので、居住可能として販売するのは難しくなります。

急に自分の財産になったものに対し、リフォームして売るという考えも、採算が取れるかわからないので実施できないでしょう。

そのまま売ったとしても、住めない状態の住宅を引き取りたい人はほとんどいません。

つまり、家を解体して土地だけの状態で売った方が、買い手がつく場合があります。

特に注文住宅を建てたい人は、住宅用の更地を探しているので、好都合。

空き家は犯罪者や浮浪者の隠れ家となったり、倒壊の危険性で周辺住民が迷惑したりと、深刻な問題です。

そのため、空き家の解体や除去費用に補助金を支給してくれる自治体があります。

取り壊す際は「再建築不可」の土地でないか確認しておくことが重要。

古い家は接道義務(幅4m以上の道路に敷地が2m以上設置していること)といった現代の基準をクリアしていない場合がある。

一度住宅を解体してしまうと、再度住宅を建てることができなくなってしまうのです。

住宅用地として販売したいなら、空き家を壊すのではなくリフォームすることになります。

事前に自分の土地が再建築不可でないかどうか、市区町村の役所で確認しましょう。

古い家とは?売れにくい原因

見た目がボロボロでなくても、建築から時間が経過した家は古いと言われます。

古い家の基準と、売れにくい原因について確認しましょう。

そもそも古い家の定義とは?

「古い家」というのは人の価値観次第なので、明確な定義はありません。

しかし、以下の基準で家の古さを判断することが一般的となっています。

  1. 耐震性:「新耐震基準」に対応しているか
  2. 法定耐用年数:固定資産税の減価償却が終わるまでの年数

1の耐震性についてですが、1981年5月末までに建設された家は「旧耐震基準」を基にしているため、震度5までしか耐えられる保証がありません。

1981年6月以降は「新耐震基準」で建設されており、震度6〜7でも維持できる構造です。

旧耐震基準で建てられた住宅は古いものだといえる。

2の法定耐用年数について、木造住宅の場合は22年とされています。

「この年数が経過したら住めない」というものではありませんが、この期間を越えると銀行など第三者から見たときの住宅の資産価値が0になるのです。

不動産の新古については耐震性・法定耐用年数・築年数を考慮すべきですが、一般では築20年を越えると建物自体が老朽化してくるので「古い家」と認識される。

売れにくい原因とは?

中古物件がなかなか売れないのには理由があります。

原因となっている3つのポイントはコチラです。

新築ブランドにこだわる層がいるから

「どうせ高額な買い物をするなら新しい家の方がいい」という考えで、新築というブランドに魅力を感じる人は一定数います。

中古物件は綺麗ではない、というネガティブなイメージも付きまとうた。

筆者も何件か中古物件の内覧に行ったことがありますが、どの家も「思ったより綺麗だな」と玄関をくぐって最初に感じていました。

自然と古い家に対するネガティブなバイアスがかかっていたのでしょう。

中古物件は内覧に訪れて初めて、その良さを実感する部分があります。

新築ブランドにこだわる人の興味を引くためには、古い家ならではの価格の安さと、建物の安心感や設備の充実さをアピールしていく必要があるのです。

老朽化が心配されるから

住宅は雨風にさらされて常に消耗しているので、築年数の経過に伴う老朽化が心配です。

購入希望者は以下のようなポイントに問題がないかを気にしています。

  • 屋根の劣化による雨漏り
  • 白アリ被害による構造の劣化
  • 壁や窓サッシの劣化による断熱性・保温性の低下
  • 給排水パイプの劣化によるニオイの発生や水漏れ
  • 建物基礎の劣化による倒壊の危険性

売却後に構造上の重大な欠陥が見つかった場合は「契約不適合責任」というものが売主側に発生する。

買主が求めれば、家の補修代支払・契約解除・損害賠償請求に応じなければならない。

古い家でも安心して購入できるための対策を講じる必要があります。

さらに販売する際は家に対する説明の責任を果たし、後からトラブルにならないように契約することが大切なのです。

後述の「古い家を売る準備」では具体案を解説していますので、参考にしてみてください。

不動産会社にノウハウが足りないから

仲介となる不動産会社の手腕も、物件の売買に多大な影響を与えます。

古い家の価値ある部分を押し出せるかは、販売実績や担当者の営業トーク次第。

売主との相性もありますが、次のような特徴の営業担当者は人気が高いです。

  • マメに連絡を返してくる
  • ファミリー層向けなど、地域の特性を分かっている
  • 古い家のデメリットも折り込んで説明できる
  • 販売実績や査定の根拠を明確に話せる
  • 家の魅力をわかっているので写真の取り方が上手い

大手仲介会社であれば問い合わせの数が比較的多いため、売れる機会が複数巡ってくる。

一方で地元の不動産会社は地域に根ざした需要を理解しているので、的確に購入希望者を内覧まで導いてくれる。

依頼したい業者の取り扱い物件をチェックし、間取りや価格帯からどの世帯に強みを持つかを確認するのです。

買主の需要を理解した販売プランを組める不動産屋は、古い家を売る強い味方となります。

古い家こそ売るべき理由

中古物件は売却が難しいと思われがちですが、古いからこそ活きるメリットがあります。

古い家を売るべきとされる理由を3つご紹介します。

売却のときに税金面で有利

古い家や土地に価値がつき、購入した当時の金額よりも高値で売れた場合、譲渡所得税という税金の支払いが発生します。

譲渡所得とは、売却価格から譲渡費(仲介手数料など)と物件取得費を引いた価格。

この所得が大きければ税金も増額されていくのですが、古い家でしか利用できない控除制度を利用すると、節税に効果を発揮します。

【居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例】

  • マイホームを売るときに譲渡所得から3,000万円が控除される
  • 相続には適用されない、前後2年は住宅ローン控除を受けられないなどの条件に注意

【マイホームを売った時の軽減税率の特例】

  • 売りたい家が所有10年を越える場合、所得の6,000万円までは軽減税率が適用される
  • 住まなくなってから3年以内に売るなどの条件がある

【被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例】

  • 相続などで手に入れた空き家を売る場合、譲渡所得から最大3,000万円が控除される
  • 1981年5月31日以前に建設された物件、相続から3年以内に売るなどの条件あり

【低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除】

  • 空き家を500万円以下で売却した場合、譲渡所得から100万円が控除される
  • 一定の区域内にある土地の場合は800万円以下まで対象
  • 都市計画区域で低未利用土地(空き家等の集まる地域)に指定されていた場合に限る
  • 相続については対象外、所有期間が5年を超えていることなどの条件あり

【相続財産を譲渡した場合の取得費の特例】

  • 相続した土地や建物を売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算できる
  • 相続開始から3年以内に売却する必要がある

知らなければ無駄になってしまう制度なので、情報収集をして賢く利用しましょう。

固定資産税が高額になる

空き家を相続して放置していると、固定資産税が高額になるケースがあります。

倒壊や危険のある特定空き家に指定されれば、翌年から税金が6倍に。

また2023年12月には空き家対策の特別法案が改正され、特定空き家になる一歩手前の管理不全空き家に指定されても、固定資産税の増額対象となった。

特定または管理不全と指定された空き家を相続してしまった場合は、行政からの助言や指導に従うことで、指定を解除してもらうことができます。

リフォームや修繕をおこなって空き家を売却できれば良いですが、倒壊寸前まで老朽化が進んでいるなら、取り壊した方が費用が抑えられる可能性があります。

なお、空き家を壊して更地にした場合は住宅用地の特例が適用できないため、こちらも固定資産税が最大で6倍になってしまうことに注意が必要です。

固定資産税は1月1日時点で存在している住宅にかかりますので、家を解体したい場合は元日以降におこなうようにしましょう。

年内にその土地の売却ができれば、翌年高額な税金を支払わなくて済みます。

中古住宅の市場が活発化している

中古物件の取引は、コロナ禍においても活発におこなわれていました。

東日本不動産流通機構の2023年の調査によると、首都圏における中古戸建の購入価格は3年連続で前年を上回り、上昇を続けている。

これは、2013年から国土交通省が中古住宅の流通を推奨し、支援策を打ち出していることも影響していると考えられます。

少子高齢化が進み空き家も増加する中で、中古住宅という資源を維持し、住み続ける風潮へと変化している。

さらに新築住宅を購入した場合に利用する住宅ローンは、マイナス金利が解除された影響で、今後利息が上昇していくことが予想されています。

物価高の影響で、建材費や人件費も高騰している昨今、新築戸建てを手に入れるためには多額の資金がかかるようになりました。

結果、中古物件の価格の安さと、物件ごとの特徴がより注目される状況となっています。

前述の東日本不動産流通機構によると、売却された中古住宅の平均築年数は21. 82年。

古い家でも売却できるチャンスが到来しているのです。

古い家を売るための準備と注意点

では古い家を売る準備と注意点を確認していきましょう。

1つ1つ手順を踏んでいけば、安心して中古住宅の売却ができるようになります。

古い家を売る準備

不動産の売却を始めるまでに、3つのステップで事前準備を進めていきます。

①価格査定に出す

売りに出したい家がどのくらいの価格になるのかを、不動産会社に査定してもらいます。

実は査定を出すときに、物件価格をあげるコツがあります。

安心感を証明できる書類を提出すること。

例えば、前述の「古い家を売る7個の方法・付加価値をつけて売る」でご紹介したホームインスペクションの結果報告書がそれにあたります。

さらにハイクラスな住宅状況調査として「建設住宅性能評価」を利用する売主も。

火災時の安全性や高齢者への配慮などが専門家によって調査されるもの。

この調査で「新耐震基準(震度6〜7に耐えられる構造)」に適合していることが証明されると、築年数の経過した中古住宅でも住宅ローン控除を利用できる。

買主にとっては大きなメリットとなります。

いずれも費用は5〜10万円程度かかりますが、買主が購入の決め手に安心感を求める場合があるので、状況によって活用してみるのもオススメです。

②不動産会社との契約内容を決める

物件の査定が終了し依頼する不動産会社を決めたら、仲介に関する契約に進みます。

これを媒介契約と呼び、売主は3つの種類から内容を選ぶのです。

  • 一般媒介契約:複数の不動産屋に依頼・レインズ登録なし・買主との直接取引OK
  • 専任媒介契約:依頼不動産会社は1つ・レインズへ登録・買主との直接取引OK
  • 専属専任媒介契約:依頼不動産会社は1つ・レインズへ登録・買主との直接取引NG

3つの契約形態は「不動産会社の縛りの有無」「レインズ登録の有無」「自分で買主を見つけた時に直接の取引ができるか」という点で異なる。

なおレインズとは、国土交通大臣から指定された不動産流通機構が運営するサービスのことで、物件の価格・面積・住所・間取りなどの情報を閲覧することができます。

自由度と能動性を考えて、最も適した契約を結びましょう。

③売却に必要な書類を揃える

売買に関する書類は、基本的に不動産会社が用意し、売主が記載すれば問題ありません。

しかし売主側で保管している次の書類は、探し出して揃えておく必要があります。

  • 登記済証・家を買った時の売買契約書の写し
  • 土地と建物の実測図や確定測量図
  • 建築確認済証・検査済証・設計図
  • 建設請負契約書(注文住宅のみ)
  • 設備の取扱説明書・保証書など
  • 固定資産税・都市計画税納税通知書
  • その他住宅を建設するにあたって作成した覚書など

登記済証などは家の権利書でもあり大変重要な書類ですが、人前に出すものではないので、契約の日以来ずっとしまいっぱなしというご家庭も少なくありません。

また、土地の境界線が不明瞭だと、物件の売買そのものができない場合があります。

土地家屋調査士が測量した「確定測量図」も手元に必ず準備しましょう。

直前になって家探しをするなど慌てないように、余裕を持って準備することが大切です。

古い家を売る時の注意点

中古住宅や空き家を売却するうえで、4つの注意点があります。

事前に知っておけば、資金面や連絡関係での失敗を回避することができるのです。

①価格査定は複数の不動産会社に出す

物件のどこに価値を感じるのかは不動産会社によって様々です。

そのため、必ず複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。

自分で複数社に問い合わせてもよいですが、時間や手間をかけられない場合は、一括査定に登録するのが便利。

ただし不動産会社によっては営業電話がしつこいなど、トラブルになった事例もあるので、契約しないときはハッキリと意思を示す必要があります。

②不動産会社からの報告義務は契約次第

媒介契約を結び、不動産会社が売却活動を始めた後は、内覧の申し込みや購入希望の連絡を待つばかりです。

しかし中々連絡がないと「今どんな状況なんだろう…」と心配になるでしょう。

実は、媒介契約の種類によって、売主へ報告する義務の頻度が異なります。

  • 一般媒介契約:不動産会社から売主へ報告する義務なし
  • 専任媒介契約:不動産会社から売主への報告は2週間に1回
  • 専属専任媒介契約:不動産会社から売主への報告は1週間に1回

不動産の売却にかかる時間は、約3か月程度となるケースが一般的。

物件によってはそれ以上となる場合もあります。

その間やきもきしながら待ちたくないという人は、一般媒介以外の契約を結び、定期報告を受け取るのがオススメです。

③購入時の取得費がわからないと節税効果が薄れる

古い家を売却して利益が出た場合、譲渡所得税を納めることはご紹介しました。

譲渡所得の計算方法は、売却価格から譲渡費(仲介手数料など)と取得費を引いた合計。

つまり、当初家を購入したときの取得費が大きければ、売却益は少なくなるので、そこにかかる税金の支払も少なくて済みます。

注意点としては、この取得費が不明だった場合です。

古すぎて記録がないなどの理由があると、売却価格の5%が取得費として算出されます。

例えば3,000万円で古い家が売れたとしても、取得費が不明だと、自動的に150万円で計算されるのです。

本来の取得費よりも少額だった場合、譲渡所得が増額してしまうので税金が余分にかかり、せっかくの節税効果が薄れてしまいます。

住宅を取得した際の費用が分かる書類や資料は、時間を見つけて探しておきましょう。

④内覧の予定に備える

不動産会社が売却活動を開始すると、物件がネットやチラシの広告に掲載されます。

そこで購入を希望する人は、内覧と呼ばれる下見をおこなうのです。

内覧の予定が入ると、その物件に居住している場合は案内しなければなりません。

大抵の場合は休日を希望されるため、先々の予定は入れない方がよい。

注意すべきは、物件の見学(内覧)に来る人が良いイメージを持ってくれるように、家の中は事前に片づけておくことです。

よかれと思って残したインテリアや家具は、新生活を始めたい人のイメージにあわない場合があります。

清掃をおこなって清潔な空間を維持し、購入希望者を明るく出迎えましょう。

古い家を売る!のまとめ

古い家を売る7個の方法、古い家の定義と売れにくい原因、古い家だからこそ売るべき理由や、そのための準備・注意点について解説しました。

古い家が売れやすくなる工夫は、リフォームや瑕疵担保保険をつけるなど複数あります。

しかしどの手法が適しているかは、建物の状態や立地など、物件のポテンシャル次第です。

「中古物件=古い・価値が低い」という先入観を崩す戦略をたて、仲介する不動産会社と協力して効果的な売却活動ができれば、古い家でも買主が見つかる可能性があります。

中古の住宅は、国としても空き家にならないように流通させたい事情があるため、税の優遇措置など施策が打ち出されている間が、古い家の売り時と言えます。

売却の準備や注意点を意識して先々に備えた行動をすれば、売主・買主ともに納得いく取引ができるようになるのです。

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