家は絶対買うなと言う賃貸派が主張する意見は本当に正しいの?
「家は絶対買うな」と言う話を聞いたことがありますか?
この記事では、賃貸派が主張する「家は絶対買うな」という意見について、その理由とそれに対する反論を解説しています。さらに、どのような場合にこの意見が当てはまるのか、そして家を買うことのメリットについても触れています。
家を買うべきか賃貸にすべきか悩んでいる方は、ぜひ続きをお読みください。
「家は絶対買うな」といわれる理由
賃貸派から「家は絶対買うな」と言われると、マイホームを夢に見ている人はドキッとしてしまいます。
購入を引き止められる主な理由は以下の3つです。
維持にお金がかかる
持ち家を購入する人の約8割が利用していると言われる住宅ローン。
一般的な最長期間は35年なので、まずは安定収入を維持して返済を続ける事が目標です。
しかし次のような要因から、ローンを払えなくなってしまうケースがあります。
- 子どもが生まれて妻が働けなくなり収入が半減した
- 子どもが成長するにつれて習い事・学習塾代・学費などの出費がかさむ
- マイナス金利解除によって金利が上昇し利息の支払いが増える
- 物価高やガソリンの高騰によって生活費が増加
- リーマンショックやコロナなど世界不況による収入削減もしくはリストラにあう
例えばライフイベントをこなしつつ景気の変動に家計が耐えられたとします。
ですが、マイホームは住宅ローン以外にも修繕費や税金がかかるのです。
生活費・修繕費・税金で支出が増加してローンが返済できなくなると、最終的に土地や住居が競売にかけられ、住人は強制退去となるのです。
マイホームを維持するためには、経済的なプレッシャーを常に感じることになります。
いざという時簡単に引っ越せない
マイホームに住宅ローンが残っている場合、家を売却することができません。
理由としては、住宅ローンの債権者である銀行が土地や不動産を担保としているからです。
そもそも中古住宅市場は供給過多の状態なので、簡単に物件は売れません。
約899万戸も空き家がある中で、自分の売り物件が誰かの目に留まるのは難しいのです。
もし運よく売却できたとしても、不動産の価値は住んだ瞬間から下がっていくものなので、住宅ローン残高を完済出来るほどの利益はあげられないでしょう。
その状態で困るのは、転勤や進学、離婚などで急いで居住地を変える必要があるとき。
新生活までのカウントダウンがスタートしているので、オーバーローンにならない価格設定で売れるのを待ったり、内覧の要望に対応したりと、落ち着かない日が続きます。
また、自然災害等で家に住めなくなった場合は、一刻も早く落ち着ける場所が欲しいもの。
賃貸物件は部屋に空きがあればスピーディーに契約できますが、持ち家はどうしてもフットワークが重くなってしまうのです。
近隣住民が良い人とは限らない
「隣人ガチャ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ガチャ=おもちゃコーナーで目にするカプセルトイのことです。
隣人ガチャには、近隣住民が自分にとって相性の良い「アタリの人」なのか、そうでない「ハズレの人」なのか不確定であるという意味がこめられています。
お隣さんの行動に悩まされる例は次のとおりです。
- 夜中に大音量の音漏れ
- BBQやお泊り会が頻繁に開催され人の出入りが多くて騒がしい
- 手入れされていない植物や多すぎる鉢植えが敷地外や公道にはみ出す
- 自分の敷地内に他の家の子どもやペットが侵入してくる
- ゴミ捨てのルールを守らない人がいる
- 隣家がゴミ屋敷と化していて悪臭や害虫が発生している
- 車や自転車の停め方が乱暴で境界線をはみ出している
上記のような事態に接したとき、賃貸物件であれば気軽に引っ越すことができます。
しかし持ち家の場合は家を引っ越すときの労力が大きいため「見ないふりをすれば住めないこともない」と我慢してしまう方もいるのです。
抱えたストレスが爆発すると「家なんか買わなければよかった」と後悔が芽生えます。
賃貸派が主張する意見「家は絶対買うな」への反論
家を買うメリットがあるからこそ、新築戸建てやマンションは続々と建設されるのです。
「家は絶対に買うな」という主張について持ち家派が反論した意見を見ていきましょう。
生涯コストでは持ち家の方がお得
持ち家は住宅ローンを完済すると住居費がかからないので、長生きするほどトータルコストが安く抑えられることになります。
以下の例で、持ち家と賃貸物件の生涯コストをシミュレーションしてみましょう。
【例:都内で30歳から50年間同じ場所に住み続けた場合】
【持ち家】
- 物件価格4,000万円(固定金利1.83%・35年ローン・元利均等返済):借入5,419万円
- 固定資産税(年間15万円):750万円
- 修繕費(10年ごとに150万円):750万円
合計金額:6.649万円
上記の場合、持ち家は賃貸物件に比べてトータル約650万円お得となりました。
もちろん賃料の低い家に引っ越せば、賃貸物件は生涯コストを抑えることもできます。
しかし、引っ越し費用や敷金礼金も余計にかかるということを忘れてはいけません。
そうした理由から、もともと割高であると考えておくべきなのです。
持ち家は総額を最初に提示されるので高額な支払いをしていると思いがちですが、長い目で見れば、賃貸物件とは総コストが逆転すると言えます。
地に足のついた生活ができる
持ち家を構えることで、その地域で暮らしていくという覚悟が決まります。
戸建ての住宅街であれば同じ気持ちの人が集まっているので、自然に暮らしやすい距離感で接することができるようになるのです。
そうして地域で関係性を深めることで、災害など有事の際に助け合うことも可能です。
引っ越す機会がないということで、荷造りの手間・住所変更の手間・子どもの転校手続き・指定学用品の買いなおしなどの面倒事が発生しません。
居住場所を固定することで、その地域での生活基盤をしっかりと整えられます。
周辺環境は事前に把握できる
家を買う前に立地場所の下見を複数回おこなうことで「住んでから周辺環境のデメリットに気づいた」という事態を防げます。
通う際は時間帯をずらして向かうのがポイント。
3つの時間帯によって、マイホームの周囲は全く違う様子を見せるからです。
- 朝:通勤時の周辺道路の混雑、ゴミ捨て場のマナーなどをチェック
- 昼:人通りの多さ、周辺から聞こえる日常の生活音の大きさなどをチェック
- 夜:帰宅時の周辺道路の混雑、道の明るさ、近隣公園の治安などをチェック
家の中に入る訳ではないので、不動産屋を伴わず気軽に訪問することが可能です。
いつもは車で送迎してもらうところを、駅から実際に歩いてみましょう。
道の舗装状況やアップダウン、横断歩道の有無など、歩きやすさを実際に調査できます。
晴れや雨など、天候が異なる日の状況も見ておくのもオススメです。
日当たりの違いや道路の水はけの良さなどを確認することが出来ます。
数回訪問するうちに、近隣住民の生活の様子も少しずつ見る機会が増えます。
目が合って「こんにちは」など挨拶を交わせれば、最低限の社交性は問題ありません。
面倒でも入念に下見することで、住んでからのギャップを減らすことができるのです。
「家は絶対買うな」が当てはまる買ってはいけない家とは
販売されている中には「買ってはいけない家」が存在します。
持ち家のメリットが少なくなってしまう例を4つ見ていきましょう。
年収に対して高額な家
住宅はお金をかけるほど、快適さや見た目の美しさが向上していきます。
理想を求めすぎると、現在の収入よりも背伸びした価格の家を購入してしまうでしょう。
高額な住宅ローンを組んだ結果、家計が圧迫され、食費やレジャーなどにかけられるお金が少なくなってしまいます。
暮らしの自由度が下がると、家が素敵だったとしてもストレスは溜まっていくのです。
また床下暖房やオール電化など、魅力的な設備が整っている住宅は多くの人の憧れ。
ガス代や電気代が高騰中の昨今では、お財布が痛い出費です。
支出が収入を上回ると、マイホームでの暮らしを楽しむ余裕が失われてしまいます。
優先順位の高い条件を妥協した家
無限に資金がない限り、住宅を選ぶときはどこかのポイントを諦めなければなりません。
しかし、家族で話し合った「家に求める条件」で譲れないはずのポイントを妥協してしまうと、家を買ったことを後悔する瞬間が必ず訪れます。
具体的な例はコチラです。
- 理想の間取りを諦める→生活動線や家事動線が不便になった
- 部屋数の多さを諦める→子ども部屋やゲストルームが作れない
- 日当たりの良さを諦める→洗濯物が乾かない
- 駅から近い距離を諦める→通勤や通学に時間がかかる
- 設備を諦める→本当はウォークインクローゼットが欲しかったなどの欲求が残る
- バリアフリーな設備を諦める→高齢になってから整備代がかかる
切り捨てた要望を上回るほど、魅力的な住宅に出会った場合は仕方がありません。
しかし大抵の場合は、生活機能に直結した部分を諦めると、日常行動が不便になります。
数十年と長い時間を過ごす家ですから、まずは快適に住める条件を大切にすべきなのです。
築年数の経過した安い家
価格を抑える事を重視して、中古物件の購入を検討する方もいます。
しかし、修繕やリフォーム代が高額になるケースには要注意。
また、建設の時期によっては地震に対するリスクも変わってきます。
- 1981年5月末までに建設:旧耐震基準に基づいているので、震度5に耐えられる
- それ以降に建設:新耐震基準に基づいているので、震度6〜7に耐えられる
旧耐震基準の住宅は大地震発生のときに倒壊のリスクがあるため、耐震工事などを追加でおこなうと、結局は新築で家を買えるような金額になってしまいます。
とにかく安さを求めて中古住宅を購入する場合は、修繕になりそうな部分をあらかじめチェックし、費用を積み立てておくことが大切です。
健康や生命に危険がある家
家が建っている場所によっては、災害や健康へのリスクが跳ね上がる可能性があります。
- 海の側の家:地震による津波の被害
- 川の側の家:河川が氾濫した時の水害
- 地盤が弱い地域にある家:地震や大雨での土砂災害
- エネルギー施設に近い家:原子力発電所や火力発電所で起きた事故の二次被害
- 交通量の多い地域の家:高速道路や国道の排気ガスや騒音による健康被害
万が一の被害が想定できる地域の住宅は、価格が安く設定されている傾向にあります。
しかし命に関わる危険性も含んでいるので、安易に購入を決めてはいけません。
事前にハザードマップや地盤マップで住宅の位置を確認しましょう。
また被害に備えて、火災保険や地震保険のオプションプランに加入するのもオススメです。
家を買う方が良いという一つの考え方を持つ
マイホームを手に入れると、人生の様々な側面で恩恵を受けられます。
家を買う方が良い、という考え方に至る3つの理由はコチラです。
ライフプランを考えるきっかけになる
住宅を買う際は、将来の収入や支出を具体的に計算することになります。
資金面の長期シミュレーションをしているので、小さな景気変動が起きても動揺せずに暮らせるのです。
年齢を重ねるうちに、いつの間にか老後資金が不足していることに気がつく人もいます。
家を買うことは、人生をどう生きていきたいかに向き合うきっかけとなるのです。
もしシミュレーションで家を買うことが難しいと判明しても、本当に持ち家が欲しいなら諦める必要はありません。
マイホームの購入を応援する、国の政策が複数存在します。
例えば省エネ基準をクリアした住宅を購入すると、最大13年間「住宅ローン控除」という税の優遇措置を受けられます。
また住宅の初期費用を抑えるため、印紙税や不動産取得税は減税措置が取られています。
自治体によっては家を建てたり移住することで補助金が出る地域もあるのです。
お得な情報を活用すれば、ライフプランもより安定したものになるでしょう。
将来の安心感がある
家を買うことによって、将来への安心感を3つ手に入れることができます。
1つ目は、ローンを完済すれば持ち家という安定した資産が手元に残ることです。
賃貸物件の場合、いくら家賃を支払っても、その家の権利は大家さんにあります。
老後に引っ越そうとすると、部屋を借りる審査も厳しくなることが通例。
マイホームを手に入れれば老後の住む場所が確定し、安心感を得られるのです。
2つ目は、加入必須の保険がセーフティーネットの役割をしてくれることです。
住宅ローンを組むには団体信用生命保険(団信)へ加入していることが条件となります。
これは契約者が死亡したり高度障害を負った場合、返済中のローン残高に対して保険金が支払われる制度です。
世帯主に万が一の事が起きて無収入になっても、団信があれば家族は住居を失いません。
3つ目は、万が一購入した家が欠陥住宅だった時に保証がきく点です。
買主は次のような法律で手厚く守られています。
- 契約不適合責任:構造的な欠陥を買主が知った時点から1年間は売主が責任を負う
- 住宅の品質確保促進等に関する法律:家の重要構造を10年間は売主が保証する
損害賠償請求や契約解除が民法で認められているので、心置きなく住宅を購入できます。
家は高額ですが、同時に大きな安心材料も買っていると言えるのです。
生活上のストレスから開放される
持ち家は生活スタイルに合わせた間取りや内装を選べるのが大きなメリットです。
次のような快適さをもたらすことで、生活上感じるストレスから開放されます。
- 洗濯機をベランダと同じ2階に設置し、重い洗濯物を移動させる手間を省く
- ファミリークローゼットを作り、各部屋に衣類を収納する手間を省く
- 玄関近くにお風呂場を設置し、外出時の汚れを室内に持ち込みにくくする
- 洗面所スペースを広くすると、家族の朝の支度が重なってもスムーズに出入り可能
- 好みの内装にすれば、生活しているだけで明るい気分になる
- リビングの風通しや日当たりを良くすると、心地よい空間に家族が集まりやすい
- 防音効果の高い窓やサッシにすれば、子どもが騒いでも気に病まずにすむ
特に子どもが小さい家にとって、静かに生活を送ることはほぼ不可能といえます。
賃貸住宅は生活音が漏れやすいですが、持ち家は隣の家と距離があるので、話し声や家電の音に注意しながら暮らさなくてよいのです。
暮らしやすい環境を選べるだけでなく、住んでからも自由に手を加えることが可能なマイホームは、生活の満足感を底上げしてくれるのです。
家は絶対買うな!のまとめ
家は絶対買うなと言われる理由と反論意見、買ってはいけない家、家を買う方が良いと思える考え方についてご紹介しました。
賃貸派の人々の「家は絶対に買うな」という主張は、マイホームを持つ上でのデメリットに注目したものです。
間違った意見ではありませんが、そのデメリットを感じるかは個々の経済状況やライフスタイル次第となります。
叶えたい理想や暮らしに安心感を求めるなら、自由度が高く、老後の資産にもなる持ち家での生活が適しています。
金銭面のプレッシャーから解放されたいなら、賃貸物件の方が数年単位で見た場合は負担が少ないです。
家を買う場合は、築年数が経過していたり地盤の弱い土地に建っている住宅など、安くてもリスクのありそうな建物は避けるようにしましょう。
家族にとって後悔のない選択ができるように、将来を見通して住まいを考えることが大切となります。