不動産売買の基礎知識

新築建売とは?新築建売を知らない方へ徹底的に解説

管理者

「新築建売とは?」

この記事では、新築建売住宅について解説している記事です。

最後まで読んで頂ければ、新築建売住宅についての疑問や不明点がが理解できるようになります。

新築建売住宅に興味がある方や購入を検討している方は続きをお読みください。

新築建売とは?

新築建売住宅とは、土地と建物がセットで販売されている住宅のことです。

例えば不動産会社が土地を購入し、住宅を建設して売りに出す物件をいいます。

一般的には完成住宅と土地がセットですが、契約時点で建物が未完成でも問題ありません。

「建築確認済証(建築計画が法律上合格か)」の交付を受けていれば、建物の完成を前提として土地と合わせて販売されるケースもあるのです。

ちなみに、新築建売物件と比較されるのは次のような住宅。

  • 分譲住宅:不動産会社が大きな土地を小分けにした場所に建設した住宅
  • 注文住宅:土地に住む人が、選んだ業者に依頼して建設した住宅

分譲住宅は土地と建物がセットで販売されるので、建売住宅の一種。

同じ雰囲気の住宅が複数並ぶことでエリアに一体感が出るのが特徴で、数棟程度〜100棟以上連なる分譲地までさまざまな規模があります。

注文住宅はオーダーメイドで建てた住宅であり、建売住宅とは反対の仕様です。

戸建ての購入を考える場合、建売住宅と注文住宅を比較することをオススメ。

新築建売のメリットとデメリット

「結局、新築建売は何がよくて何がダメなの?」

マイホームの購入を考えるときは、情報が多くて誰しも混乱するものです。

メリットとデメリットをまとめましたので、ご自身の状況に合うか考えてみてください。

新築建売のメリット

まず、新築建売物件を購入した場合のメリットを4つ見ていきましょう。

①土地と建物を同時に購入できる

建売住宅は、土地を購入し建設業者を選定する、という手間がかかりません。

理想の住宅を求める方は注文住宅を選びますが、最初の難関は土地探し。

希望立地か、広さは十分か、予算内かを検討し、時間を作り何か所も候補を回ります。

場所が決まると設計の打合せや費用の振込をしたりと、工程を上げればキリがないです。

建売物件ならすでに完成しているので、快適に住める住宅を選ぶことに集中できる。

また、購入の際に住宅ローンを組む場合、新築建売と注文住宅の違いは次のとおり。

【建売住宅】

  • 土地と建物が一体で審査されるので融資を受けやすい
  • 住宅ローンが一本化されるので管理が楽

【注文住宅】

  • 土地代の支払や工事の着手・中間・完成時など資金調達がたびたび必要
  • 建物の計画が決まってないと住宅ローンが利用できないこともある

土地と建物がセットだと、金銭や手続きに関する煩わしい作業が減るのです。

②購入に必要な費用が低コスト

新築建売は、注文住宅に比べて低コストで購入できるとしたデータがあります。

(引用:住宅金融支援機構 2022年度フラット35利用者調査 平均所要金額)

  • 建売住宅:3,719万円
  • 土地付注文住宅:4,694万円

このように価格差が出る理由は、建売住宅が次の特徴を持つからです。

  • 住宅の建設に関して打ち合わせがないので人件費がかからない
  • 同じ間取りや設備で複数の住宅を建設するので、資材をまとめて安く発注
  • 分譲地で複数の家を同時に建てる場合、契約を一本化できるのでコスト削減
  • 複雑な間取りがなく設備も一般的なので建物自体のコストも低い

量産できる住宅だからこそ、多くの工程で費用を抑えられます。

③スピーディーに購入できる

建売住宅の場合は引き渡しまでにかかる時間が約1か月と短いので、転勤やお子さんの入学など、急いで引っ越す事情があるときにオススメです。

また、新居に引っ越すのであれば、今まで住んでいた家を出ることになります。

賃貸住宅に住んでいる場合は、退去の数か月前に申し出るケースがほとんどで、現在の家から退去する日が決まると変更ができません。

つまり家の建設が遅れてしまうと、住む場所が一時的になくなる可能性も。

注文住宅のスケジュールとしては土地購入から引き渡しまでが約1年以上。

雨などで工事が後ろ倒しになることも考え、計画にゆとりが必要です。

「この日までに新居に住みたい」と考える場合は建売住宅がピッタリ。

④内覧しながら新生活をイメージできる

完成した建物内を見て回る=内覧ができるのも、建売物件ならでは。

「テレビを置きたい場所にアンテナの端子がなかった」
「今持っている洗濯機が脱衣所のスペースに入らない」

内覧では周辺環境や間取りだけでなく、上記のような細かい部分も確認可能です。

また、以下のように条件があって安くなっている建売もあります。

  • 近くに高速があるため時々音が響く
  • お菓子工場のそばに建っているので甘い匂いがする
  • 周辺に飛行場があり、上空を飛行機が通過する

室内からの景色や外の騒音が事前にわかるため、その状況が内覧で気にならなければ、新築物件をオトクに購入可能。

新築建売のデメリット

次に、新築建売物件を購入した場合のデメリットを3つご紹介します。

①自分の理想が叶えられない

建売住宅は既に完成しているか計画が承認されている住宅です。

つまり、購入希望者は設計段階に関わりません。

住宅に対する理想を全て叶えることは難しい。

間取りや内装に強いこだわりを持つ方にとってはデメリットです。

ちなみに筆者の購入物件にはテレビアンテナやカーテンレールがついていませんでした。

後から自分たちで手配しましたが、新築建売はそうした手間もかかるといえます。

キッチンや浴室といった設備、壁紙の色、雰囲気などが購入者の好みと一致した建売住宅もありますが、そうした物件は人気なので争奪戦。

内覧して気に入った物件の購入を決断し、不動産屋に手続きを依頼したタイミングで、別の人が一歩早く購入してしまった…ということもあります。

暮らしやすく理想的な新築建売物件があったとしても、すぐ買い手がついてしまう。

②家族の人数が変化した場合に対応できない

子どもが生まれると、次のような理由で建売住宅に不便を感じる場合があります。

  • キッチンやリビングなどの共有スペースが手狭に感じ
  • 空き部屋がないので子ども部屋が作れない
  • 収納スペースがおいつかない
  • 1階で洗った洗濯物の量が年々増えて、2階ベランダに干すのが大変

2階以上の住宅は階段の位置も重要。

上階への階段がリビングではなく玄関近くにある場合、共有スペースにいる家族と挨拶を交わさずに子どもが自分の部屋へ直行できてしまいます。

これからお子さんが思春期や反抗期を迎えるご家庭にとっては心配な構造。

注文住宅であればこれらの問題を想定した家造りができますが、建売では難しいです。

③建築の過程を見られない

新築建売物件は、建築の過程をチェックすることができません。

どんな人が工事したのかもわからず、仕上がりだけを見て家の良し悪しを判断します。

「もしかして手抜き工事されてるのでは…?」と不安を覚える方もいるでしょう。

心配な場合、別で建築士に設計書を見てもらったり、住宅の不具合を診断する専門家に頼ってもよい。

ただしそういった依頼には、費用もかかることになります。

また、土地の整備状況や耐震性の高い地盤なのかどうかも、建設後では判断できません。

基礎工事が適切におこなわれているかは、業者を信頼するしかないです。

企業によっては地盤調査報告書や地盤改良工事報告書を説明に添えてくれたり、地盤に関する長期の保証が付いた物件も。

心配な場合は購入前に不動産会社の担当者へ相談することをオススメします。

新築建売を購入する時に注意したいポイント

住宅を購入するときは気分が高まり、不動産会社の指示通り手続きしてしまうものです。

ですが、その新築建売物件で本当に豊かな生活が遅れるのでしょうか?

注意したいポイントを4つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

①絶対に譲れない条件を明確にする

「建売物件を購入する人は平均2〜5軒内覧している」という不動産会社の声があります。

(参考:こうべリノベーション不動産)

筆者の場合は複数の不動産会社を回ったので、今の住宅を購入するまでに10軒以上見学しました。

たくさんの選択肢から物件を選ぼうとすると、どんどん自分の希望がブレていく。

前もって「住宅に求める条件」を次のようにリスト化するのがオススメです。

(例)

  • 最寄り駅、駅からの距離
  • 間取り
  • 必要な部屋の数
  • 予算
  • 設備(キッチン形式やトイレのウォシュレット有無など)

上記の希望を妥協してもいいと思えるほどの物件に出会うこともあります。

ですが、その家が気に入ったからといって勢いで選んではいけません。

例えば、内覧でどうしても住宅の雰囲気が気に入ってしまい、予算を超えるローンを組んだ結果、生活が苦しくなるケースもみられます。

住宅ローンの返済シミュレーションは十分におこないましょう。

希望条件を明確にし、優先順位をつけることで、後悔しない物件選びができるのです。

②立地条件は家族の生活スタイルと一致するか

新築建売住居は支払額が大きいこともあり、賃貸物件のように思い立ったら引っ越すといった身軽な行動がとれません。

そのため、物件を選ぶ際は自分を含めた家族の行動パターンを整理しましょう。

通勤、通学、習い事、実家との距離などから、それぞれ移動が苦にならない程度の範囲で住宅地を選べばOK。

注意したいのは、不動産会社とのやりとり。

「範囲を広げるとこんな物件もありますよ」と希望エリア以外の住宅を勧められても、それが一駅分くらいの許容範囲であれば問題ありません。

あまりに違う場所であれば、内覧候補に入れるかを一度考えた方がよい。

また、住宅の周辺環境が暮らしに十分適しているかも事前に検討する必要があります。

  • 買い物できる施設はあるか
  • 内科・小児科・皮膚科・耳鼻科などの身近な病院はあるか
  • 取引している銀行はあるか
  • 子どもが安全に遊べる公園はあるか
  • 夜でも明るい道を通って帰れるか
  • 昼と夜で治安が変化する場所はないか

他にも気になる事があれば上記のリストと合わせて内覧の時に確認するのがオススメ。

家族の生活スタイルに合った、便利で安全な場所で生活できることが大切です。

③住宅の品質は保証されているか

安心して新築建売を購入したいときは「住宅性能表示制度」を活用しましょう。

住宅性能表示とは、第三者が法律に基づく10の分野で住まいの安全を示したもので、具体的には2種類の書類。

  • 設計住宅性能評価書:住宅の設計を評価
  • 建設住宅性能評価書:工事中と工事後の状態を評価

これらによって建築物の耐震性や耐久性、省エネ性能などを知ることができるのです。

上記の評価書が交付された家に住むメリットはこちら。

  • トラブルの際に指定住宅紛争処理機関(全国の弁護士会)に紛争処理を申請できる
  • 耐震の等級に応じて、地震保険料が10~50%割引される
  • 特定分野の等級が基準以上なら5年間金利が引き下げられるフラット35Sが利用可

さらに「長期優良住宅」「低炭素住宅」「ZEH住宅」に認定されると、補助金制度や低金利の住宅ローンも利用可能です。

地球環境にも優しい新築建売物件を選ぶことで、金銭的にも利点がうまれます。

また、引渡し直前におこなわれる立ち合いチェックも、品質確認に重要です。

内装・外観・設備に不具合や気になる点がないかを不動産会社とチェックしましょう。

④アフターサービスは付属しているか

アフターサービスは不動産会社ごとに異なり、新築建売を選ぶ際の比較材料になります。

一例はコチラです。

  • ドアやサッシ部分に不具合がある場合の建具修復
  • 壁紙の剥がれや変色・変形への対応
  • シロアリ被害が出た場合の駆除
  • リフォームスタッフによる住宅の定期点検
  • 住宅に不具合やトラブルが発生した場合のコールセンター設置

中には「購入後〇年以内」と期限が区切られているものもあるので要注意です。

なお、耐震性や構造部分の欠陥が見つかった場合は、アフターサービスではなく「住宅瑕疵担保履行法」という法律が新築建売のマイホームを守ってくれます。

「暮らしてから水回りで漏れがあることに気が付いた」
「住んだ当初から床がきしんだり、傾いているように感じる」

上記トラブルの場合、「契約不適合責任(瑕疵担保責任)」に基づいて、基本的に10年間は買主が売主へ修復や損害賠償を請求できます。

引き渡した物件が契約に沿ったものかで判断されるので、新築建売物件を購入するときには必ず契約書を隅々まで見ることが大切です。

新築建売を購入すべき人はどんな人?

新築建売物件を購入するのにオススメの人はどんな人でしょうか?

当てはまる方のパターンを3つ見ていきましょう。

マイホームは欲しいけど予算は抑えたい人

新築建売住宅は、土地付き注文住宅よりも費用を抑えて購入することができます。

つまり、少しでも節約して家を買いたい方にピッタリです。

住宅ローンを組んで購入する場合は、買い手の職業や収入が銀行に審査される。

次のような人はローン審査が通りやすいだけでなく、低金利での借入が可能。

  • 公務員として働いたり大企業に務めるなど、安定した収入のある人
  • 夫婦共働きなど、家計の収入源が複数ある人
  • 年齢が若い人(これからの人生で働く時間が長い=支払能力がある)
  • 車のローンやキャッシングなどの負債がない人

これらに心当たりがあれば新築建売物件を安く購入できるチャンスです。

そして「新築住宅」という言葉が使えるのは完成から1年後までというのはご存じですか?

その後は「中古・未入居物件」となってしまいます。

「新築」というキラーワードが使えなくなるのは販売側にとって大きな痛手なので、完成から時間が経過するごとに、値引が交渉しやすくなる傾向にある。

新築建売を紹介してもらう場合は、住宅完成日を忘れずに確認すべきです。

家造りに強いこだわりがない人

新築建売は規格化された間取りによって建設されているため、自分だけの家を造りたいと情熱を燃やす方にはミスマッチです。

  • 住宅において強いこだわりがない
  • 暮らしやすさや生活に不便がなければいい
  • デザインは奇抜でない方が落ち着く

これらの思考に納得できる場合、新築建売物件の検討をオススメします。

また、分譲地に建設された住宅は似たような外観で立ち並ぶのですが、それを見て「個性がない」と思うか「統一感があっていい」と思うかも分かれ目。

前者は注文住宅、後者は建売(分譲)住宅を購入するのに向いている人なのです。

幼い子どもを持つ親

乳児や未就学児、小学生を育てる親世代は、一般的に働き盛りです。

お金を稼ぐだけでなく、新築建売物件という資産を手に入れることで人生にゆとりが生まれます。

また、引っ越しで転校を考えなければならないのも、子育て世代の悩み。

お子さんが学区を気にしなくていい未就学児の場合、比較的親の都合に合わせて通勤に楽な場所や帰省しやすい場所を選べるでしょう。

さらに、新築建売が分譲住宅であったなら、時期を空けず次々ファミリー層が入居します。

家族ぐるみの付き合いができたりと、ママやパパ、子どもが友達を作りやすい環境。

どんな人がご近所さんになるのかは不安かもしれませんが、新築建売であれば間取りや設備などから事前に購入層を絞り込み、人付き合いに対する心の準備ができます。

新築建売とは?まとめ

新築建売の定義とメリット・デメリット、注意ポイントや新築建売住宅を購入すべき人についてお伝えしました。

住宅を購入する際は、さまざまな物件を見ることになります。

最初は真新しい家にワクワクしますが、複数の候補を内覧していくと、体力的にも精神的にも疲れてしまうことがあるでしょう。

そんなときは、この記事でご紹介した「絶対に譲れない条件を明確にする」というポイントを特に思い出してください。

比較検討する際に購入者の「こんな家が欲しい」という軸がしっかりしていると、不動産会社も相談に乗りやすくなります。

ただ、一番重要なのは家選びが楽しいと感じられることです。

新しい生活のイメージを膨らませながら、理想の新築建売住宅を探してみてください。

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アセット東北のマドンナ 鳩子が、皆さんに不動産にまつわるお役立ち情報や基礎知識、よくあるご相談を「分かりやすく」お届け!
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