家は買わない方が賢いと言われる理由!買う方が賢いパターンは?
「家は購入しないほうが良い」とよく言われますが、本当にそうでしょうか?
この記事では、一般的に購入しないとされる理由と、それに対して家を購入する方が賢いとされる場合について解説している記事です。
最後まで読んで頂ければ、家を買う方も賢い選択の一つだということが理解できるようになります。
家を買わない方が良いと言われて心配している方は続きをお読みください。
「家を買わない方が賢い」と言われる理由
賃貸物件に住み続けている人は「家を買わない方が賢い」と主張することがあります。
マイホームの購入を考えているときに聞くと、不安な気持ちになりがちです。
なぜ賃貸派の人は家を買わない選択をしているのか、理由を4つご紹介します。
ローン返済は家計への負担が大きい
住宅ローンを組むと、一般的には最長で35年間、絶え間なく返済が続きます。
これはテレビや雑誌など幅広いメディアに出演する経済評論家・勝間和代さんの言葉。
ローンを組む=銀行からお金を借りている状態ということを、忘れてはいけません。
つまり、大半の人が借金をしてまでマイホームを手に入れているのです。
リーマンショックやコロナ過のように、社会経済の影響によって収入が下がったり、仕事自体がなくなる可能性は誰にでもあります。
厳しい状況でもローンを継続しなければならないのは、持ち家のデメリットです。
一方で、収入の増減にあわせて住む場所を選べるのが賃貸物件となります。
常に家族にとってコスパのよい家を選択することができるのです。
税金を支払う必要がある
持ち家があると、賃貸では支払う必要のない税金が複数発生します。
特に毎年4月に通知される「固定資産税・都市計画税」は不動産の規模や価値にもよりますが金額が大きいため、住宅購入の壁の1つとなっています。
年1回とはいえ多額の支払いをするくらいなら、安い家賃の賃貸物件で節約生活をして貯蓄したり投資したりする方が良い、と考えるのが賃貸派なのです。
維持費がかかる
住宅は長く住み続けるとあちこちが傷んできます。
修理する費用について、持ち家の場合は住人自身が負担しなければなりません。
屋根・外壁・ベランダといった住宅の外側部分と、内壁・床・水回りやガス設備といった内側の部分について、劣化への対策が必要になります。
その点賃貸物件なら、修繕にかかるお金は基本的に貸主の負担。
設備が経年劣化によって故障した場合、修理業者の手配も含めて大家にお任せできます。
身軽に引越しができる
転勤・近隣トラブル・災害など、突然住宅を変える必要が出てくると、持ち家の存在が問題になります。
物件が売却できればローン残高と相殺できますが、不動産の価値は変化するものなので、高値がつくとは限りません。
引越し前と引越し先、両物件の支払いについて頭を悩ませる可能性があります。
また、家の立地が決まっているので、転職や転勤を安易に選べず、職種によっては昇進が難しくなる場合も。
それに比べ、賃貸は契約を解除するだけで引越しができるので身軽であり、物件によっては即入居可といったスピード感が魅力です。
子どもの進学先にあわせて学区を変えたい、という希望も引越しで叶えることができます。
「家を買わない方が賢い」の反対意見と考え方
「家を買わない方が賢い」について持ち家派の反対意見も見逃せません。
マイホームを購入した人の考え方を4つご紹介します。
月々支払う必要については家賃もローンも同じ
毎月支払いが発生するという点は、賃貸も持ち家も共通しています。
賃貸は物件によって家賃が決まっており、それを払わないと住むことができません。
支払能力に応じた返済シミュレーションをしておけば、家計を圧迫することはありません。
ここで「住宅ローンは金利が上がれば返済額も大きくなる!」という反論も出るでしょう。
確かに金利が上がれば住宅ローンの利息額も増えますが、それは大家さんも同じです。
大家さんが賃貸物件の支払にローンを利用していた場合、金利の上昇分はいずれ家賃に上乗せされます。
長期的には家を買う方がコストが安い
賃貸物件と持ち家のコスパについて、総支払額は持ち家の方が安いです。
次の例を見ていきましょう。
【持ち家の場合】
- 土地付き4000万円の住宅を金利1.4%の35年ローンで購入
- 月々の支払いは約108,000円。
- 108,000(円)×12(か月)×35(年)=45,360,000円
【賃貸物件の場合】
- 持ち家と同じ広さのファミリー物件:都内の相場家賃を15万円/月と想定
- 150,000(円)×12(か月)×35(年)=63,000,000円
実際には持ち家に税金・諸費用・維持費がかかったり、賃貸で更新料を支払う必要がありますが、簡素化して計算すると上記のような結果となりました。
また、賃貸物件のメリットとして引越しできる身軽さがありますが、引越しには意外と初期費用がかかります。
物件を変えるたびに敷金や礼金なども新しく支払わなければなりません。
そうなると、賃貸の生涯コストはますます増えてしまうのです。
老後も住める安心感がある
持ち家はローンを滞納することが無ければ、いつまででも住むことができます。
修繕費や固定資産税さえ気にしておけばよいのです。
対して賃貸物件に住み続けたい場合、家賃の支払いは必須です。
これは、孤独死のリスク・保証人の不在・他の住民とトラブルを起こさずに生活できるか、などのデメリットな要素が増えるためです。
人生100年時代と言われ長寿化した日本では、定年後も30年ほど生きることになります。
しっかり家賃を払っていたとしても、建物の老朽化やオーナーの経済状況次第では、物件自体がなくなってしまう可能性もあるのです。
それに比べ持ち家は、自分次第で同じ場所に住み続けられます。
原状回復を気にしなくていい
賃貸に住む人には、部屋を借りる前の状態に戻す義務(原状回復)があります。
退去の時に家主のチェックを受け、指摘があった場所の修繕費用を払うのです。
壁に釘を打ってもいいし、子どもが壁に落書きしても、ぶつかって穴が空いても大丈夫。
自分の家なので、例え家具の搬入で床が傷ついたとしても賠償責任はないです。
原状回復を気にせず過ごせるので、些細な破損を気にするストレスから解放されます。
家を購入するメリット
家を購入すると受けられるメリットは5つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
固定費が安定する
住宅を購入した家庭の場合、固定費が安定します。
それは月々のローン返済額が長期的に決まっており、支出が明確なためです。
しかし、賃貸物件のように大家次第でいつ家賃があがるか分からない恐怖感はありません。
賃貸派の方に高額だと指摘される維持費についても、事前に想定ができるので、貯金さえしておけばいざという時慌てずにすみます。
返済計画を事前におこなっている分、将来を見越した家計管理ができるのです。
持ち家は資産になる
持ち家には資産になるという魅力があります。
「住んだその日から価値が下がっていく」という意見もありますが、確かに売却が最終目標ならば気にした方がよいでしょう。
土地や住宅を担保にすれば、銀行から融資を受けることもできます。
株やNISAなどの流動資産は損をする可能性があるもの。
住宅は固定資産なので、安心して保有を続けることができるのです。
住宅ローン控除を受けられる
マイホーム購入者にとっての強い味方が、住宅ローン控除です。
住宅ローン控除とは、以下のような制度です。
現在は持ち家を取得することを国が後押ししてくれている状況です。
税の優遇措置を受けられるのも、家を購入するメリットといえます。
理想の暮らしを叶えることができる
家族全員が快適な住まいを探したいなら、選択肢が多い持ち家は最適です。
間取り、設備、立地条件などの理想を追求することができます。
また、暮らすうちに出てくるこんな要望も叶えられるのです。
- 子どもが生まれたので子ども部屋を作りたい
- 趣味の道具が増えたので収納スペースを確保したい
- 夫婦で生活リズムが変わったので寝室を分けたい
- リモートワークなので仕事に集中できるスペースを作りたい
- 天井を吹き抜けにして部屋を広く見せたい
- 壁紙を変えたり棚板を取り付けるなどのDIYがしたい
- 老後のためにバリアフリー仕様に変えたい
空間作りにこだわれるのは、賃貸にない大きな特徴。
生活しやすい機能を盛り込み、家を綺麗な状態に保てると、心の安定にも繋がるのです。
子どもをのびのび遊ばせられる
子育てをしている家庭にとって、周辺家庭への配慮は気を遣う部分です。
子どもの騒音やドタバタ駆け回る振動による近隣トラブルはよく聞きますし、あまりに苦情が重なって、賃貸では契約更新を断られた事例もあります。
持ち家に関していえば、上下左右の住宅間隔が離れているので、トラブルとなるリスクが賃貸物件よりも低く安心です。
賃貸で暮らしていると「まわりに迷惑だからそんな遊びやめて!」と叱りがち。
マイホームでは子どもがのびのびと遊べる環境を作れるのです。
家を購入する場合とそうでない場合の税金とお金
持ち家と賃貸について税金やその他の支出にはどんなものがあるでしょうか。
違いを正しく知ることで、それぞれのメリットデメリットを見極められるようになります。
家を購入する場合の税金
税金は持ち家を購入するときのみ支払うものと、継続して支払うものがあります。
【家を購入するタイミングで1回だけ支払う税金】
- 印紙税:不動産の建築や売買の契約書に課税される
- 登録免許税:不動産登記の際に課税されるもので、新築でも相続でもかかる
- 不動産取得税:不動産を取得した際に課税され、土地と建物両方が対象
- 消費税:住宅部分に課税されるが、土地部分については非課税
【家を購入した後も1年に1回支払う税金】
- 固定資産税・都市計画税:土地と建物の両方に課税され、相場は10~15万円程
なお、不動産取得税や登録免許税、印紙税、固定資産税には軽減措置があります。
固定資産税の減税は新築限定などの条件があるので、利用したい方は注意しましょう。
家を購入する場合の税金以外に支払うお金
税金以外で支払うお金には、次のようなものがあります。
- 手付金:住宅を購入する意思表示として支払い、総返済額の一部に割り当てられる
- 頭金:住宅ローン残高を減らすため、契約から引き渡しまでの間に支払う
- 登記費用:不動産登記を司法書士などにお願いした場合の依頼料
- 諸費用:ローンの借入事務手数料や、ローンの補償料など
- 仲介手数料:不動産屋を仲介して物件を購入した場合に支払う
- 団体信用生命保険:契約者が亡くなると残高が0になる保険、ローンの一部に含む
- 火災保険や地震保険:幅広いオプションあり、物件によっては指定される場合も
特に高額だと思われがちな頭金ですが、総返済額を減らすために多額の現金を任意で先払いしているだけなので、必須ではありません。
また火災保険10年分や地震保険5年分も、一括で支払う場合は初期費用が高額になります。
手元に資金を残しておきたいなら分割払いも可能なので、家族でよく相談してから契約するのがオススメ。
保険の不要なオプションを削ったり、仲介手数料の安い不動産屋を利用すると、初期費用を抑えて住宅を購入することができます。
賃貸で暮らす場合の税金
賃貸で生活する場合、初期費用として支払う税金はありません。
不動産に関する税金は、所有者である大家さんが支払っているからです。
ちなみに家賃は消費税の対象外となります。
賃貸で暮らす場合の税金以外に支払うお金
賃貸物件に入居する際に支払うお金は次のとおりです。
なお、賃貸契約を更新する場合は別に支払いが生じます。
【賃貸物件入居時に支払うお金】
- 家賃先払い分:住み始める月と翌月分の2ヶ月分を入金する
- 敷金:家賃滞納などリスクへの担保として徴収、退去時に返還されることも
- 礼金:大家さんへ部屋を貸してくれるお礼代わりに支払う
- 仲介手数料:物件を契約した不動産会社へ、家賃の0.5~1ヶ月分を目安に支払う
- 火災保険料:入居の際に必須とされており、個別で契約する
- 諸費用:カギ交換費や家賃補償会社への支払いで徴収されることがある
【賃貸契約を更新するときに支払うお金】
- 更新費:一般的に賃貸は2年契約なので、それを越えて住み続ける際に支払う
ちなみに毎月支払うお金については、家賃の他に共益費(共有部分のメンテナンスや運営費用)がかかるケースもあります。
また、車を持っていて敷地内に駐車場がないときは、自力で月極駐車場を契約しましょう。
家は買わない方が賢いと言われる理由!まとめ
「家を買わない方が賢い」と言われる理由、その反対意見と考え方、家を購入するメリットや、持ち家と賃貸で異なる税金などについてご紹介しました。
持ち家を買うことが賢いか、そうでないかは、経済的な側面が大きく関係します。
住宅を購入した方がよいパターンはコチラに当てはまる方々です。
- 将来の支出を把握した方が安心できる
- 住む場所を安定させたい
- 確かな資産を手に入れたい
- 家に理想を持っている
住宅ローンを組む場合は長期返済となるので、目標に向かってコツコツ努力することが好きなタイプも、家を買うのに向いているといえます。
安定感を手に入れるなら持ち家、引っ越す可能性が高いので身軽でいたい方は賃貸、といったようにそれぞれの良さを理解することが重要です。
持ち家は高い買い物ですが、長生きすれば賃貸で生涯支払う家賃額も大きくなるもの。
将来をシミュレーションすることが、暮らしやすい住居を選ぶ近道なのです。