「家を買う時代は終わった」そう言われる原因と反論
「家を買う時代は終わった」という話はネットやSNSで一部聞きますが、その理由とは?
この記事では、「家を買う時代は終わった」という意見に対する反論、なぜ家を購入することが依然として有益なのかを解説している記事です。
最後まで読んで頂ければ、家の購入と時代に関する考え方が理解できるようになります。
家を買うことに心配事がある方は続きをお読みください。
「家を買う時代は終わった」と言われる理由
昭和・平成・令和と移り変わる中で、住宅への価値観も大きく変化しました。
家を買うこと=時代遅れだと考える人の意見を、4つ見ていきましょう。
住宅ローンの金利が上がると予想されるから
2024年3月、日銀が17年ぶりにマイナス金利を解除しました。
その影響を受けて、住宅ローンの変動金利は今後上がっていくことが予想されています。
金利が0.1%上がっただけでも、総支払額に大きな差が出る。
簡単な例で返済シミュレーションをしてみましょう。
【3,000万円・35年ローン・金利1%(元利均等返済)の場合】
総返済額:35,567,700円
月返済額:84,685円
【上記と同じ条件で金利が1.1%に上昇した場合】
総返済額:36,158,220円
月返済額:86,091円
月々の返済は1,406円増えただけなので、支払えないほどではありません。
しかし総返済額で見た場合の金額差は590,520円と高額です。
物価の上昇が続いているから
日本は物価が高くなるインフレ時代に突入しています。
材料費や人件費が高騰した結果、住宅自体も値上がりが続いている状況です。
国土交通省は不動産価格の変化を「不動産価格指数」として毎月公表しています。
円安やウクライナ情勢により物価高が収まらない日本経済の中で、数千万円の家を買う行為は大きな借金を作るようなもの。
目先の生活を維持することに精一杯な場合、マイホームまで考えることができないのです。
同じ場所で働き続けられる保証がないから
30〜35年の住宅ローンを組んだ場合、定年まで長年働かなくてはなりません。
しかし、近年は実力主義を掲げる企業もあり、終身雇用を撤廃する動きも出ています。
またリストラされたり、肉体的・精神的な疲労で働けなくなるリスクもあります。
ローン残高の一括返済がしたくても、退職金では足りないケースが今後想定されます。
家を買いたいけれど、定年まで働けるような職場が見つからず、さらに退職金も減っているとなれば、家の購入を諦めてしまう人がいるようです。
フレキシブルな働き方が認められるようになったから
コロナ禍を経験したことで、日本社会は在宅勤務に理解を示すようになりました。
つまり、通勤時間を考えて住む場所を選ぶ必要性がなくなってきたのです。
観光地やリゾートでテレワークをこなしながら休暇を満喫できる「ワーケーション」という勤務形態は、働く世代の8割が認知していました。
さらに平日は都心アパートから職場に通い、週末は田舎で過ごす2拠点生活を楽しむ人も。
持ち家によって居住地が固定されると、柔軟な働き方のメリットが活かせなくなります。
それなら最初から家を買わなければいい、と考えるのが賃貸派の意見です。
「家を買う時代は終わった」の意見に対する反論
マイホームを手に入れることは本当にオワコン(終わったコンテンツ)なのでしょうか。
持ち家派の反論を4つご紹介します。
マイホームに憧れを持つ人が一定数いる
20代の約6割が家を買いたいと考えているアンケート結果もありました。
「いつか家を買う」という目標を掲げて、仕事のモチベーションを保つ若者もいます。
住宅という高額な買い物をすると、その経験から自己肯定感が高まることもあるのです。
家を買う時代は終わったと話す人の心理には、買えない悔しさをごまかす気持ちが隠れていると考えられます。
給与以外で収入を得られる方法が増えた
終身雇用が保証されない現代、給与だけでの住宅ローン完済は厳しいものがあります。
しかし近年ではスマホで少額から株取引が出来たり、副業を許可する企業が現れたりしました。
そうして貯めた資金を住宅購入にあてれば、不動産という固定資産を得られるのです。
さらに会社員は、仕事中のケガや失業に保険金がおりる労働保険に加入しています。
またローンを組む場合には、団体信用保険への加入が必須。
万が一契約者が亡くなるとローン残高に保険金が適用されるという制度です。
収入源の幅が広がると同時に、日本の手厚い保険制度がセーフティーネットの役割を果たすので、住宅購入を身近なものとして検討できる時代が来ています。
老後に住む場所を確保できている
持ち家はローンを完済すれば、何歳まででも住み続けられます。
しかし賃貸物件の場合は、歳を重ねると家を借りる審査が厳しくなるのです。
収入以外の資産がなかったり、連帯保証人がいない場合は要注意。
特に高齢者が孤独死を迎え、事故物件になるのは大家さんが一番避けたいケースです。
同じ物件に住めたとしても、2年に1度更新費を支払うなど、永続的な出費が発生します。
一方で持ち家はローンを完済すると定期的な支払いは0円となり、住居に資金がかからなくなるので、浮いたお金を生活にあてることができます。
土地の価値が高まっているから
家を買うということは、土地を所有することでもあります。
住居は済んだ瞬間から資産価値が減っていきますが、地価はそうとは限りません。
持ち家の徒歩圏内に鉄道が敷かれたり、ショッピングモールができると、利便性や人気が上がるので土地価格も上昇します。
また、近年は自治体がSNSやふるさと納税などで魅力を発信できるようになりました。
こうした情勢も、居住地の価値を高める効果があります。
「子育てしやすい」「自然が豊か」「生活に必要な施設がそろっている」といった場所は需要が高く、マイホームを買う動きも活発なのです。
今の時代の正しい家の買い方と考え方
充実した気持ちで理想の家を選ぶために、正しい家の買い方と考え方を知りましょう。
今の時代にあわせた知識を5つのステップでご紹介します。
①理想の持ち家を考える
家の購入に向けて最初におこなうのは、叶えたい夢を家族で話し合うことです。
とりあえずの勢いで不動産屋に行ってはいけません。
最低限、以下のことについて条件を洗い出しておくとよいでしょう。
- 購入場所はどの地域がいいか
- 駅からの距離は徒歩何分までなら許せるか
- 部屋数はどのくらい欲しいか
- 間取りに対して要望はあるか
- 設備の希望はあるか
特にデザイン性と実用性のどちらをとるかは家族で方向性を決めておきます。
「暮らしやすさを重視したけど家のワクワク感が減ってしまった」
「オシャレだけど物が取り出しずらいし収納がすくない」
こんな後悔をしないために、マイホームに求めることをはっきりさせておくのです。
②自分の支払い能力から予算を立てる
次におこなうことは、住宅ローンの返済シミュレーションです。
現在の年収だけでなく、昇給の上がり幅や未来のキャリアプランをもとに計算しましょう。
金利などの計算を自分でやろうとすると大変ですが、そこはネットの活用を。
数字を入力するだけで簡単に総支払額の予算をはじきだすことができます。
将来が不透明な今、無理なく返済できる範囲で家を選ぶためには外せないステップです。
③複数の不動産屋と打ち合わせや内覧をおこなう
条件や支払い目安額を決めてから、本格的に家探しを始めます。
理想がしっかり固まっていることで、不動産屋も物件を紹介しやすくなるのです。
注文住宅を選ぶのであれば、住宅展示場へ足を運ぶのもよいでしょう。
実際の間取りを目にすると、生活動線などをイメージしやすくなります。
建売住宅では物件ごとのメリットデメリットを比較する資料になりますし、注文住宅なら業者との言った、言わないという論争を防げる材料になるからです。
さらに、1つの不動産屋や工務店に絞るのではなく、複数の業者を検討しましょう。
相性のよい担当者や、地元に強い個人店と出会える機会を増やしていくとよいです。
④契約前にネットの声を確認
物件探しや打合せを進める間にも、ネットの声を確認しましょう。
土地・業者・居住先となる地域の様子・治安・駅前施設の充実度など、チェックすべき項目はたくさんあります。
後悔しない家を選ぶには、特に失敗談に注目してみるのがオススメです。
- 窓を大きくしたら夏は暑くて冬は寒い家になった
- 他の購入希望がいると聞いたので焦って決めてしまった
- 壁紙のサンプルを前もって取り寄せればよかった
- 家の目の前が道路なので排気ガスと騒音に悩んでいる
さまざまな実体験をSNSなどで確認しておくと、同じ失敗に陥る可能性が低くなります。
⑤住宅ローンを組む時は慎重に
マイホームを決めた後も、安心してはいけません。
住宅ローンを組むという一大イベントが残っています。
まず不動産屋から紹介された銀行に融資の審査を出すのですが、これは不動産屋にとって旨味がある銀行です。
仮審査で大手の銀行を勧められた場合は、自分で金利の安いローン先を探してみましょう。
住宅ローンは後から借り換え可能という話も聞きますが、リスクを忘れてはいけません。
借り換えに手数料が必要、金利上昇で借り換えのメリットがない、といった点に注意です。
不動産屋の話をうのみにせず、自分から情報収集をしておくのがベストといえます。
家を買う時代は終わった?家を持つことのメリット
家を買う時代は終わったと言われていても、持ち家のメリットは必ずあります。
4つのポイントにわけて、詳しく見ていきましょう。
経済的に安定する
住宅を購入すると、月々の住宅ローン返済額や、将来かかる修繕費の額が予想できます。
先々の支出まで明確になるので、自然とムダな出費を抑えられるようになり、家計が安定するのです。
さらに住宅ローン控除とよばれる国の施策によって、新築なら13年もの間、所得税や住民税の控除を受けることができます。
また省エネ性能が一定基準を越える住宅には、補助金を出してくれる自治体もあります。
例えば神奈川県横浜市では「省エネ住宅住替え補助制度」があり、最大150万円まで支援を受けられるのです。
税の優遇措置や補助金を受けとれる部分は、持ち家の特徴的なメリットといえます。
社会的な信頼を手に入れることができる
マイホームを手に入れると、周囲から一目置かれるようになります。
特に年長者は「持ち家を買うと一人前」という意識が強い傾向です。
さらに、住宅ローンを組む時は勤め先や資産を開示して審査を通過しなければなりません。
家を買えるということは、身分や収入が銀行の基準値を越えている証明になるのです。
また、住宅や土地を担保にすれば、さまざまな金融機関で融資を受けることもできます。
印象の面で好感触を掴める以外に、家の購入は社会的な信頼を得ることに繋がるのです。
生活が快適になる
理想の家を手に入れると、生活に良い変化が起こります。
- ウォークインクローゼットが出来て洋服を選びやすくなった
- 収納が増えたので部屋が散らからず見た目が綺麗
- フロアに段差がないので掃除がしやすい
- オール電化にしたため音声アプリから家電を操作できる
- 開放感のあるリビングが居心地よく家族が集まってくる
- 駅から近い家にしたので朝の支度時間がゆっくりでいい
- 子どもの部屋を作ってあげたら友達が遊びに来るようになった
特に幼い子のいる家庭がマイホームを持つと、子育てに余裕が生まれます。
筆者も賃貸から建売住宅に引っ越しましたが、怒るストレスや近隣住民とのトラブルになる可能性が減ったことにより、笑顔でいる時間が増えたことを実感しました。
マイホームを手に入れたことで生活が快適になり、気持ちが前向きに変化したのです。
暮らしの自由度が上がる
「飾り棚をつけてインテリアをオシャレにしたい」
「壁紙の色を変えて部屋を明るく見せたい」
「可愛いカレンダーや芸能人のポスターを飾りたい」
これは全て、賃貸住宅に住んでいた過去の筆者が胸に秘めていた願望です。
賃貸は原状回復が義務なので、壁に穴を空けたり壁紙をはがすような加工はできません。
持ち家ならば、制限なく内装に手を入れることができます。
また、庭付きの住居を選べばガーデニングや家庭菜園といった趣味にもつながります。
子どもの遊びスペースにもなるので、なわとびの練習をさせるなど体力作りにもピッタリ。
SNSを見ればDIYのヒントがあちこちにあるのも令和の時代ならではです。
住み始めた後からでも、暮らしを自由にデザインすることができます。
「家を買う時代は終わった」のまとめ
「家を買う時代は終わった」と言われる理由、反論意見、現代の家の買い方、持ち家のメリットなどをご紹介しました。
家を買う時代は終わったという言葉は、世の中を表す正しい表現ではありません。
価値観が多様化し、持ち家派と賃貸派で意見がわかれているだけなのです。
家を買うことが良い結果につながるのかは、購入者の状況次第。
収入が少ないと感じている場合や、転勤が多く1か所にとどまらない人にとっては、賃貸物件の方が生活に適しているでしょう。
しかし持ち家の全国所有率が68.9%であり、多くの人は現在もマイホームを有益だと考えていることがわかります。
暮らしに理想がある、利便性の高い土地が分かっているといった家庭の場合は、建売住宅や注文住宅に住み替えると、生活の質があがるのです。
時代が変わっても、家を買うことのメリットは変わらず存在するといえます。